私たちが応援する理由
もう何年も何年も前のある日の週末
電車に一人の女性と一頭の盲導犬が乗り込んできました。
盲導犬は皆様ご存知の通り目の見えない人・見えにくい人が
行きたい時に行きたい場所へ行けるように障害物を避け
段差を教え、安全に歩くためのお手伝いなどをしています。
道路交通法や身体障害者補助犬法という法律でも認められていて
一緒に電車やバスに乗り、お店などにも入ることができます。
その盲導犬は「ピタッ」と寄り添いながら
空いている席へと女性をエスコートしていきます。
女性が席に座ると、盲導犬は「ベタッ」と近くに座りこみ
目的の駅に着くまでの間通りすがる人や
電車の音などにも影響されずに「ジーッ」とお利口にしていました。
“この犬は偉いな~”なんて思いながら
暫くの間その盲導犬を見ながら過ごしていました。
盲導犬を注視していた私は
次第に目が見えない女性の方に注目するようになりました。
その時に私が感じたことは目の見えない人に対して
「印刷って無力なんだな」ということです。
印刷産業は基本的に目が見えることを前提にしています。
(点字などの技術もありますが・・・)
趣向を凝らしたデザインも
心にぐっと刺さるコピーも
色彩豊かな風景写真も
どれもが“目が見える”ことを前提にしています。
「目が見えないってどういうことなのだろうか?」
「・・・・・・・」
きっと自分が想像したそのずっと何倍も大変なんだろうなと・・・
そのずっと何十倍も暗いんだろうなと・・・
そのずっと何百倍も心細いんだろうなと・・・
人は聴くよりも、触るよりも、
見ることで多くの情報を手に入れます。
車内のポスターや中吊り広告
路線図や交通サインなどの情報も彼女には伝わりません。
彼女の情報源は耳と、盲導犬なのです。
盲導犬はまだまだ足りていないそうです。
日本には全盲の人が約10万人いるといわれています。
全盲の方を対象にしたアンケートの結果によると
「今すぐ盲導犬を希望する」と答えた人は約4,700名。
「将来希望する」と答えた人も加えると約7,800名にもなります。
現在、国内で活躍する盲導犬は約1,050頭(2012年3月時点)です。
“盲導犬応援活動GONTA”とは盲導犬の活動をサポートすることで
目の見えない人たちを支えていこうという想いで始めた活動です。
大それたことができるわけではありませが小さいことを細々と
印刷業界の我々だからこそ
そんな気持ちで・・・。
2013年3月
代表取締役社長 工藤 太一