ツクリテオモイ

No.002 朝の清掃が磨いたもの

2015.12.1

サンダル履きで缶コーヒーをすすり、それぞれが機械のスイッチを押して準備に取り掛かる。くわえタバコで原稿と刷版を眺めながら「本日の予定」を立てる。それが10年前の朝の工場風景でした。工場の中には、使い終わった印刷用紙や、インキの空き缶が所狭しと積み重ねられ、放置されていました。取り出しにくく、分かり難く、毎日ちょっとした不便に目をつぶりながらも、みんなは感じていたのだと思います。「自分たちの職場は、もっときれいなほうがいい」ということを。この何年間も目をつぶってきた日常が変わるきっかけとなったのは、汚れた床をペンキで塗ってみたことでした。初めて塗り終えた日、自分たちの靴や裾に飛び跳ねたペンキが、気にならないくらいピカピカに仕上がった床を見て感じたこと「俺たちにだってできるじゃん!」「自分たちの手で作った床だからこそ、いつもきれいに保ちたい」以前はバラバラと集まり、それぞれのペースで行っていた朝の掃き掃除を、時間を設定して全員で取り組むことにしました。この朝の掃除がチームの意識をも変え始めました。昔は床にゴミが落ちていても、道具が指定の場所に戻されてなくても、気にもしなかったスタッフが、自らゴミを拾い、片づけを行うようになりました。もちろん喫煙ルールも決めました。また、掃除の時間が始業前ということもあり、掃除をしながら思考の整理をするようになり、始業と同時にその日の予定がつけやすくなりました。急いでるし、この位いいだろう・・以前のようなちょっとした気の緩みもなくなり、落ち着いて丁寧に向き合う姿勢から良い製品を生み出すことにもつながりました。今は、見学に来られたお客様から『きれいな工場ですね』とのお言葉をいただけることが、何より1番嬉しいですね。今、私たちが目指しているものは「日本一きれいな工場」です。それは何かの賞をいただくことが目的ではありません。働いているスタッフ全員が家族や友人に誇れる職場環境・製品作りができているのかどうかを1つのポイントにしています。たった1つのきっかけで、変わり始めた製造現場。朝の清掃で磨いてきたものは、本当は私たちの工場をつくる思いだったのかもしれません。

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