スペシャル対談 ものづくりを考える VOL.1

今回の対談では、受注産業と言われる印刷・製本業界の中でも、高い技術力とものづくり精神で様々な製本加工で付加価値を生み出している有限会社篠原紙工の篠原社長に、「提案型ものづくり」の秘訣や、製本業界への思いを語っていただきました。また、職人時代の貴重なお話や社長としての思いもお聞きしました。

「職人を大切にしたい」をカタチに

工藤
今度、新たな取り組みをやるんですよね。
篠原
はい。
工藤
どんなことをやるんですか?
篠原
まだすごく漠然としているので、載せるほどのことではないですけど…。
工藤
いや、なぜ、それをやろうと思ったのかなと。
篠原
元々は、うちにいる古い職人さんが結構いい年なんですよ。今でも結構頑張って、工場でやっているんですけど、やはりハードなので、この先のことを考えた時に、あるところで限界が来るかなと。「もう、ちょっときついや」というのがやってきた時に、「さようなら」と言うのが寂しくて、そういう人たちが働ける環境を揃えたいと思ったんですよ。

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工藤
へえ~。すごい。
篠原
なぜかというと、彼らすごいんですよ。僕もずっと現場をやっていたけど、年配の職人さんの技術には絶対追いつけないと思うんです。
工藤
へえ~、そんなにすごいですか?
篠原
すごいですね。もう、あり得ないですね。僕の中では、もう無理だと思っています。あの域に行くのは。
工藤
同じ時間をかけても?
篠原
同じ時間をかけたら、どうかわからないです。でも、同じ時間をかけることが、まずできない。今だと交代制とか、年間休日何日とかがあって、家庭と仕事を大事にするという考えが普通でしょう。でも、彼らの若い時は、土曜日の休みなんてあり得ない。毎日夜遅くまで働いていて、もう仕事しかないわけですよ。明らかに俺らの時と比率が違うんですよね。その中でガツガツしてやっているから、ハングリーさが違うというか。特に20代30代の頃に、どれだけハングリー精神を持って仕事に取り組んだかという部分が絶対違うと思う。
工藤
でも、それは今も一緒ですよね。
篠原
一緒です。だから、そういう人の割合が圧倒的にたぶん違ったのかなという気がする。今でもそういう人はいますよ。ただ、今の世代がこのまま会社にいたとして、同じ人数いるかというと、同じ人数はいないかなと思う…。
ただし、うちで意識しているのは彼らと違う形で、20年後、30年後に「あの人たちはすごいね」と言われるよう、また少し違うスタイルができるんじゃないかなと思ってはいます。全く同じ道ではなくて、違う道で極めたいみたいな。

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工藤
これから職人さんたちは、どんなことをやっていくんですか?
篠原
そこで何かできないかなと思っていて、お客さんからの仕事を回す機械にずっとへばりついてやるのではなくて、例えば機械のメンテナンスだとか、お客さんから「こんなのができないか」と言われた時にテストしたり、あるいは工場内でこんな装置があると面白いな、こんなことができるなといったものを色々研究したり…、そんなことができる部署があれば、お金を生むことはないけれども、うちで働き続ける意味が出てくるのかなと。それによって、実際に仕事をひたすらやっている時ではチャレンジできないようなことができたりするんじゃないかという気がして、そういう部署が欲しかった。
数年前から思っていていましたが、やはりお金というか、会社としては簡単にはいかないので、ずっと心の中にあって、いつかやりたいと思っていました。去年の秋口ぐらいに、「来年2月、社長になる」と決まって、ちょうどそのタイミングで、うちの4階をずっと倉庫として使っていたのが空いたんですよ。「これはタイミングかな」と思って、大家さんに「いま空いたの、貸してくれませんか」と言ったら、「いいよ」という感じだったので、「じゃあ、うちで借ります」と。まだこれからですけど…。それが発端です。
これをそのまま、それだけのためにやったのでは宝の持ち腐れなので、どうしようかなと思った時に、ここで何かイベントをやったり、機械を置いておいて、「どうぞ触ってください」とやったり、人がたくさん集まれるような場所にしたいと思っていて、今色々考えています。まだ何をやるかは決まっていませんけど。

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工藤
すごく面白そうですね。
篠原
何かそういう場所にしたいと思っています。

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